FX（外国為替証拠金取引）

噂のミセス・ワタナベ
数年前にニュースで大きく取り沙汰され、海外ではFXで利益を上げる主婦の個人投資家を総括して「ミセス・ワタナベ」という代名詞で呼ぶようになったきっかけを作った方だという認識でした。


ニュースだけを見ていた時は故意に申告しなかったという印象を持っていたのですが、2年ほど前に読んだどこかのサイトの記事で「税務署にいくら納税したらいいのかと聞きに行ったのに、調べるのに時間がかかるからとその時は追い返され払わせてくれなかった。と思ったら次の日に査察が入っていきなり脱税の容疑者になった」らしいというのを読んだことがあって、とても興味を持っていました。


古本屋さんでこの本を見つけて、パラパラとめくっていたら、その時のいきさつも詳しく載っていて、とても興味深く読ませていただきました。

私も証券会社には利益から税金を引いて（源泉徴収して）から利益が自分にまわってくる特定口座(源泉徴収あり）があるんだから、FXも当然あるだろうと思いこんでいて、FX会社に「そういう口座に移りたいんだけど」と電話したことがあります。


（国税庁も、脱税できないように源泉徴収してくれればいいのにと思いますけど・・・）


FXの前に株→先物という経緯があったということで、土台がしっかりしている方だからこそここまでやれたのだなと思います。

巷にあふれている「この手法でやれば何十倍」（この手の本はもうお腹いっぱいです）とはちょっと違うのだと思います（だから読もうと思ったんですけど）


だからそういう手法を期待して読む人には評判はわるいかもしれませんが、「素人とプロが同じ土俵で戦う」以上、勉強しないで一攫千金を狙おうとすること自体が「カモ予備軍」への道を歩んでるのだなあということを再認識しました。それでもFXは他の方法よりも確かに利益はあがりやすいと思います。ただ、勝ち続けるには、やはり土台がしっかりしていないとダメということも感じますから、かんたんに金もうけができるとは思わないほうがいいです。


私にとってはとても有意義なおもしろい本でした。



フィボナッチ、ボリンジャーバンドを私は使ったことがなかったので、この本だけではどうやって使ったらいいのかいまひとつ分かりませんが、RSIの逆行現象、乖離幅は参考になりましたし、税金面では反面教師という意味で貴重な経験を語ってくださって、何が起こっていたのかを教えてくださって、感謝します。


FXで儲けようとされている個人投資家の方、税金の申告が面倒くさいなあと思っておられる方にもぜひ読んでもらいたいです。

国税や税務署の厳しさを知っていると
この本はまさに税金に対する認識をしっかりと持ち、トレードを真剣に始める人たちにはとても参考になる本だと思います。もちろん反面教師という意味ですが。現物株式とは違い、雑所得に見なされてしまう世界ですから、この著者の方もさぞかし驚いたのではないでしょうか。


ただし、それ以前にも先物を中心に取引をされていたということでトレードの手法も大きな流れではトレンドフォローを中心に行い、その中で押し目買い、戻り売りをしている点などを見ても、相当手慣れていると考えざるを得ません。ですから、本当に税金のことを御存じなかったのかという疑問を個人的には持ってしまいました。


しかし、そういう点を除けば語り口調のこの本はとても面白く一気に読んでしまいました。

お勧めの良書だと思います。

「奥義」は書かれていない期待はずれの本
この本には「奥義」というほどのことは袋綴じにも書かれておらず、4億円も脱税するほど儲けた具体的な手法の記載を期待すると、期待はずれです。

脱税にいたるまでの回想録が本の大半を占めており、テクニカルの記載などについては他の本でも書かれているような事柄に過ぎません。


著者は、株式投資はじめ投資歴が長く、勉強も相当した方のようですが、長年にわたる知識と経験の蓄積があってＦＸトレードをしたから、成功できたということがわかるだけです。